きみだけが好き。

「う、うん。　大丈夫だよ」


　八代くんと、初めての電話……。


　緊張で、少し声が震えちゃう。


『ん、ありがと。　…最近さ、山岡にしつこく付きまとわれてて……ちょっと疲れてる』


「え…山岡さん…？」


　八代くんが困ってることって……山岡さんのことなんだ…。


『なんか、俺と森田の関係疑ってるらしくて。　…参る』


「…たとえば？」


　どんなことを八代くんに言ったのかな…。


『えっと…まぁ、その…付き合ってるのか、とか…』


「…八代くんはなんて言ったの？」


　聞くのこわいな……。


　聞いちゃったら、八代くんが私に興味がないって思い知らされるかもしれない…。


『違うとは言った。　だから大丈夫、心配すんなよ？』


　八代くんは、私に迷惑かけないために言ってくれてるのはわかる。


　でも、、、私は八代くんが好きなんだよ？


「…そっか、うん…」


『…なんか元気ない？　森田も山岡になんか言われた？』


「ううん！　なんにも言われてないよ！！　だいじょぶっ」


『ならよかった…。　あのさ』


「ん？」


『何か言われたら俺に言えよ？　…それから、話聞いてくれてありがとな』


　キュゥウウ……。


　なんで八代くん、そんな優しい言い方するの…？


　いつもイジワルなこと言ったりするのに…。


　期待ちゃうよ…。


　私は、特別なのかも…って。