きみだけが好き。


 まぁ、そりゃそうか…。


 でも、未琴ちゃん頑張れっ。


 ……私は二人を見守ることにした。


「紫月…」


「うん。 花帆が認めてる子だからいい子なんだよね。…さっきはごめん」


「ううん! こっちこそ。 でも……ありがとう、二人とも」


「「え?」」


 私と紫月の声がハモる。


「あたし、高校入ってから友達出来なくて…。 というか、作り方さえ忘れててね? それは色々あったからなんだけど…。 だから、こんなギャルみたいにして……気にしてほしくて…」


 そうだったんだ…。


 確かに未琴ちゃんの性格とこの格好は合わないないな、って思ってた。


「でも1年生の時、花帆ちゃんみてて思ったの。 この子と友達になりたいって。 花帆ちゃん優しいし…いつもニコニコしてたから」


「そうなんだ……」


「未琴……」 


 今、未琴ちゃんは泣いてる。


 そっか。 だから私に話しかけてくれたんだ…。


 『席が近い』ていうだけで私に話しかけてくれたわけじゃないんだね。


「未琴ちゃん、紫月。 これから仲良くしようね!!」


「うん、そうだそうだ。 未琴、うちらがいる!」


「……ありがとうっ」


 未琴ちゃんの涙は、うれし涙だと思った。




< 16 / 288 >

この作品をシェア

pagetop