きみだけが好き。
「あ、そろっと14時じゃん。 今、由紀に電話するから待ってて」
蒼介は、私の手をそっと離して、端っこの方に行ってしまった。
手が離れると、今までの温かさが徐々に冷めていくのがわかった。
私……蒼介の手、あったかくて、大きくて、ちょっと骨ばってて…
大好きだな。
早く手、繋ぎたいよ…。
私は近くにいたエイを眺めることにした。
水族館に来てるのに、蒼介が言った言葉とか、しぐさに気をとられて……全然魚とかいろいろな水の中の動物、見れてないなぁ…。
それだけ頭は蒼介でいっぱいで……。
さっき、『花帆のこと好きすぎて』って言われたとき、本当に嬉しかった。
この私が、蒼介と付き合えてて…名前で呼べるって、スゴイことだよなぁーって、よく思う。