きみだけが好き。
八代くんがカッコイイから?
違うんだよなぁ。
「森田もヤダって言ってる割にさっき笑った」
「……!」
かぁああ。
「だって、八代くんがっ」
「俺が?」
八代くんが、イジワルな顔をして私を見る。
「…つられて笑っただけ、です」
だって、だってさ、八代くん…あんまり学校で笑わないみたいだから、それで笑ってるの見たら…なんか。
嬉しくなったんだもん。
言えないけどね。
「森田んちって、どこ?」
「あ。えっと、ここを右に曲がった…3軒目」
「へー、学校から近いんだ? 羨ましー」
「え? 八代くん、遠いの?」
「遠いっつうか……電車通学」
「でっ電車なの!? それじゃ、方面逆だよ!?」
私の家から早くて30分はかかると思う。
そんな……!
「も、ここまででいいよっ 八代くんの家の人心配しちゃう…」
「だーからいーんだって。 俺のことより自分の心配しろって……」