きみだけが好き。



 あ、私なにか頼もう。


「すいませーん」


「はい」


「あの、冷たいミルクティーください」


「あ! わたしレモンティー」


「あたしはカフェオレで」


「かしこまりました。 少々お待ちください」




「花帆は気になる人とかいない?」


「ていうか、恋ってどんな気持ちになるの?」


「え~、まずキュンとなって…」


「そうなんだよね。 で、一緒にいると落ち着いたり…なんか安心したり…」


「そ! で、たまになんでか泣きたくなる」


「それだっ、そうそう。 そんな感じ。 とにかくその人を思うとドキドキする」


「そ、そうなんだ…」


 なんか大変だな、恋って。


「で、いないの? そういう人」


「……んーたぶんいない」


 いないよね。


 ……いない? あれ、今なんでか八代くんが…。


 ないない! ただよく話してるだけだし、そんなことはありえないねっ。


 だって相手は八代くんだもん。

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