きみだけが好き。



「そろそろ出る? もう5時半だし」


 未琴ちゃんが携帯を開いて時間を確認する。


「そんなに時間過ぎてたんだ…」


「ガールズトーク恐ろし~」


 私たちは喫茶店を出た。




***************


「じゃぁ、あたしこっちだから。 花帆ちゃん、紫月ばいばい」


「あっ未琴ちゃん、ばいばーい」


「じゃ~ねっ」


「未琴ちゃんの家って私たちの家から案外近いのかな」


「いや。 未琴電車通学だって。 なんか中学でいろいろあったっぽいし、離れたかったんじゃない?」


「そうなんだ、電車通学…」


 八代くんも電車通学って言ってたなー…。



 って、八代くんのこと考えちゃったよ今!


 でも別に好きとかではないし……なにコレ!?


「花帆、気づいたら…言ってね」


「?」


「応援するからね! じゃ、またメールすんね~」


「あ、うん。 ばいばい紫月」


「ばいばい」


 いつのまにか家の近く…。


 それなのに、違うこと考えてた…。
 
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