きみだけが好き。



「あ、これね、お母さんがしてくれたんだ。 うちのお母さん美容師だから…」


「そうなんだ!? いいね、羨まーーっ」


 紫月も未琴ちゃんも髪が長いからこういう風にアレンジできるんだなー…。


 私も伸ばしてみようかな…?


「今日は花火上がるよねっ それも楽しみ~」


 未琴ちゃんがニコニコしながら言った。


「わかるっ なんかいいよねっ」


 うんうん、私もそう思う。


「ここのバスからどのくらいかかるか知ってる?」


 紫月がバス停を指差して言う。


「たぶん15分もあれば着くと思うよ?」


「そっかぁ。 バスで初めてだからさ」


 私と紫月は毎年どっちかの家の車で送ってもらっていたから、バスは初めて。


 そして、未琴ちゃんと初めて行くから、今回は自分たちで行くことにした。


「あたし、初めてだからどんな感じかわからないなー」


「結構広いんだよ。 だから去年、花帆迷子になったんだよ」


「きゃ~それは言わないでよーーっ」


 恥ずかしい思い出だから思い出したくなかったのにっ


「あははっ そうなんだ? じゃあ、今年は気を付けないとね」


「大丈夫だってばっ」


 また迷子になんてならない!!


 それに、いざ何かあれば携帯あるしっ



「お、バス来たよ」


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