きみだけが好き。
紫月は電話をかけ始めた。
「ねぇ、花帆ちゃん」
「うん?」
石段に座って、紫月を待ってる間、未琴ちゃんから話しかけられた。
どうしたんだろう。
未琴ちゃん、緊張してる……??
「あたし、前に『1年生の時から花帆ちゃんと友達になりたいと思ってた』っていったじゃない?」
「うん。 あの時は嬉しかった」
そういえば、紫月と未琴ちゃんが初めて話した日に、未琴ちゃん泣きながら『ありがとう』って言ってたこともあったね。
そして、その時に私と友達になりたいと思ってた、って言ってくれた。
「花帆ちゃんは覚えてないかもしれない…。 でも、聞いてくれる? あたしがどうして花帆ちゃんと友達になりたいと思ったのか」
「…うん、聞くよ」
それから未琴ちゃんは話し始めた。
「1年生の時、あたし誰とも話す勇気なかったの。 それでクラスで孤立しちゃって…。
それでよく中庭の花壇の所に行ってたのね。 そして、ある日…花帆ちゃんがいた」
「私…?」
そんなことあったかな…?
私は記憶を遡ってみる。 …あ!!
「私、確か花壇に水あげてたんだ」
「そう。 花帆ちゃんがニコニコしながらお花に水をあげてて…。『大きくなって早くキレイなお花を咲かせてね』って言ってたの。…あたし、昔から人の性格とかピンッとくるっていうか、あたるんだ。 その時思った。『この人は本当に優しい人なんだ』って」
「そんな…優しいなんて…」