きみだけが好き。


「違うんだ? よかった」


「「よかったね~」」


 …よかったって、なに?


 もしかして山岡さんも八代くんが好き!?


 え、えっ……


「何? アナタ八代くんが好きなの?」


 今まで黙っていた未琴ちゃんが、私が聞きたかったことを言ってくれた。


 なんて答えるんだろ……。


「え? んー…まぁ、そんなとこ。 森田さんと付き合ってるってウワサ聞いてね。 だから確認しよーと思って。 でも違うんだよね? 好きでもないよね?」


 ……なに、それ。 


「……だよ」


「「え??」」


 山岡さんたちが、あまりにも小さすぎて聞こえなかったと思う私の言葉に耳を傾ける。


 未琴ちゃんは、私がなにを言ったのかわかったのか、心配して私を見てる。


 でも、言わないと。 って思う。


 だって隠してて後からいろいろ言われたくないから。


「好きだよ」


 自分にウソをつくなんて………できなかった。


「……」


 この重たい空気……こわいな…。


「…そ。 あたしはあたしのやり方でせめるから。 …行こ」


 意外にも山岡さんはあっさりと言った。


 そして、山岡さんのグループは教室を出て行った。
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