先生、もう一度好きになっていいですか。
「・・・鈴香・・・??」

さすがに先生も気がつき、

わたしの顔をのぞきこむ。

そう、この人だ。

あたしが大好きだった人。

・・・そんな過去形じゃない。

・・・あたしの大好きな人。

「・・・私、帰ります」

「ちょっ・・・、鈴香?」

帰ろうとすると私の手を先生は掴んだ。

その手はあったかくて・・・。

「先生が期待させるからっ・・・!!

 先生のこと、忘れようって、

 頑張ってるのに!先生のバカ!!」

そういい、靴をはいて走る・・・走る。

いきなり苦しくなって止まった。

「うぅ・・・」

雨がふっていて涙も目立たなかった。

地面に雨と同じように涙の粒が落ちる。
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