Summer memories
俺が………



志衣を………



泣かした……?





何年振りだろうか。





志衣を泣かしたのは。





多分、あの時以来だな。







あれは確か俺達が10歳の頃。





志衣が俺のえくぼを笑ったのが事の発端。




俺は意外と自分のえくぼを気にしていた。




男にえくぼってなんか恥ずかしいし。




俺はそんなえくぼを笑った志衣に腹が立ち、




志衣の頬をグーで殴ってしまった。




無意識の行動で一瞬自分が何をしたかが分からなかった。




志衣は頬を押さえながら、




ポロポロと泣きながら俺に謝ってきた。





『ごめんねっごめんねっ。大輔ごめんねっ。』




あの時の志衣の声を忘れない。




あの時の志衣の泣き顔を忘れない。




たかが笑われただけで殴った俺が悪いのに




志衣は泣きながら俺に謝り続けた。





それ以来、俺は





志衣の泣き顔には弱い。


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