Summer memories
「これ、うまそーだよな。」


大輔はビニール袋の中に入ったマシュラムを
手に取って言った。


「ダメだよ!それ、恭介のなんだから!」


「しっ、知ってるよ!」


大輔はマシュラムをビニール袋に戻した。





チリンチリンっ♪



「大輔ー!志衣菜ー!」


突然後ろから自転車のベルの音がしたと思ったら、あたし達を呼ぶ声が。



「隆平っ!」


隆平はあたし達が振り向くより先に、


自転車であたし達の前に回り込んだ。



「よっ!」

と、片手を上げる隆平。



「お前らどこ行ってんだよ。」



「恭介ん家。お見舞いっていうのかな?」


「え、あいつ、風邪引いて休んでんのか?」


「いや、分かんねー。
まあ、恭介のことだから風邪じゃね?」


「ふーん。そっか。ちょうどよかった!
実は俺も恭介ん家に行ってたところなんだ!」



「え?なんで?隆平もお見舞い?」


「まあ、それもあるけど、総務委員として。」


と、言って隆平はカバンから、
恭介の通知表を取り出した。


「届けに行くのか。」


「そうゆーこと。」


「総務委員も大変だねえ。」


隆平は「まあな。」と言って、
自転車を降りて、手押しにした。




はあ。




早く会いたいよ。




恭介。







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