private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 「テメェ何すんだ!!」




 パァンッ



 クラッカーでも使ったかのような派手な音。

 自分の頬が鳴ったとはにわかには信じがたいが、左頬がジンジンする。


 「鷹槻テェメェ」




 パァンッ




 「イッテ。何す」





 パァンッ





 「ざけんな」





 パァンッ





 鷹槻が喋ろうとして、そこに一瞬だけ隙が生まれる。

 それをついて俺は鷹槻につかみかかった。




 「土下座して謝罪しろ!!」




 鷹槻は一喝した。


 「んだとコラァ!!」


 つかみかかった俺は鷹槻を力一杯押しながらベッドから下りる。

 瞬間、鷹槻に押し倒され、背中がマットレスに着いた。

 胸に置いた手と、首に掛かった手がじわじわ俺の身体を苦しめていく。

 蛍光灯を逆さに浴びて影った顔の中で、猛禽類のような鋭い目が妖しい輝きを称えている。

 俺を射殺さんばかりに見つめながら、鷹槻は俺がかろうじて

 呼吸できるくらいに調節して降参するのを待つ。

 微妙な力加減を知っている鷹槻は、まるでヘビが獲物を捕らえるときのように、

 ゆっくり少しずつ、俺から勢力を奪う。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
猛禽類は性質が荒い肉食の鳥。タカとかフクロウとか……鷹槻、だからね(笑)
< 149 / 269 >

この作品をシェア

pagetop