private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 一時間そこで泣き明かし、二時間目も出る気にはなれなくて、

 三時間目の体育に、やっと出席した。

 体育のあと教室に戻ったら寿が来てて、奈々とつき合う前みたいに、

 ハーレム状態で楽しそうだった。

 私を見かけても、別段何かするわけでもなく、何も変わらない。




 お弁当の時間になると、奈々はどこかに行った。

 見ると、星哉もいない。

 二人でどこかで食べてるのかな。

 一人で食べるのむなしいし、学食行こうかなぁ。


 でも今の時間じゃ、席なさそう……


 私は人気のないところを探して、ささっと食事をすませて教室に帰ってきた。



 こんな生活が続くのかなぁ。


 クラスメートとか、他のクラスの人の中に、友だちがいないわけじゃない。




 でも、奈々と星哉といつも一緒だったから………

 高校に入学して三年目だもん。

 私の中にリズムがあるように、みんなの中にもリズムがあって、それは崩せない。

 放課後、掃除が終わって早々に私は学校を出る。




 みんな楽しそうだなぁ………




 私は一人で、もくもくと歩いていた。





 「岡崎様」


 不意に呼ばれて、私は振り返る。

 声と呼び方で分かったけど、鷹槻さんが私の方に向かって歩いて来ていた。

 寿を送って来てるのは知ってるけど、迎えに来てるのは見たことがない。

 ミディアムウルフの無造作ヘアーが今日はストレートだし、

 どうしたんだろう。

 服装も何だかちょっと……


 
 砕けてない?


 「こんにちは」


 金曜日にいろいろあったから、ちょっと気まずい感じがする。

 だけど鷹槻さんはそんなこと気にもしてないのか、

 いつもの柔和な笑顔を向けてくれた。
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