private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 「代々彩並家の執務を任されてきた家系ですから」


 ひやぁ、寿の家ってすごいんだね………




 タクシーが一台広場に入ってきた。


 「到着したようですね」

 「タクシーなんですか?」


 私はテッキリ寿のところから車を一台借りるんだと思ってた。


 「えぇ。今日は、わたくしの個人的な用事ですから」


 鷹槻さんお気に入りの喫茶店は結構遠くて、

 車を一時間近く走らせることになった。


 一時間の道のりを、リッチにタクシー。

 執事って儲かるのかなぁ。


 連れて行かれたのはヨーロッパ系の白くて四角い建物。

 大き目の窓から見えるフリフリの白いカーテンが可愛い。



 店内に入るとビックリした。

 ショーケースに並ぶケーキの数が半端じゃない。

 軽く三十は越えてるよ?


 「お好きなものを頼んでくださいね」


 迷っちゃって、決められない……

 一つ一つ見るだけでも一苦労だよ。


 「シンプルですが、ザッハトルテがお勧めですよ」


 私が困ってたら、鷹槻さんが助けてくれた。


 「それにします」




 すごい……高い……

 鷹槻さんが精算を済ませると、普段の鷹槻さんみたいな

 スーツを着た店員さんが、席まで案内してくれた。




 ココア色を貴重とした統一感のある内装はゴージャス。

 ろうそくの形をした電気のついたシャンデリアとか、

 テーブルは白の大理石だよ!

 イスは撫でる方向によって色が濃くなったりする

 ベルベット生地。

 座り心地も抜群だ。




 「どうぞ、召し上がってください」

 「いただきます」


 ケーキの先っぽの三角を切ると、フォークに乗せて口に運ぶ。

 ふわふわしたスポンジを口に入れたら、舌触りがよくて、

 チョコレート味なのに爽やか。



 しつこくないんだ。
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