private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 …………いや、俺の周りだけだな。

 みんな平和そうだ。

 俺はこの日、一人になりたくて外で夕食をすませた。

 だからこの日はもう、鷹槻と琴音とは顔を合わせることはなかった。

 そして翌日、俺はもっと変なことに巻き込まれることとなる。






 「遊びでいいから、わたしともつき合って欲しいな」


 休み時間に呼び出され、梨乃にそう言われた。

 とりあえずみんなに公平に接してきた俺は

 イヤと言いうことはできず、これもOKすると、誰もが公認の二股に。

 梨乃と夢花はギャル系同士、仲がいい。

 おそろいの何かを持つ感覚で、俺に告ったのか?

 最悪だなそれは。

 考え方がいつになく悲観的なのは琴音のせい。

 これじゃバイタリティーが持たない。

 早いとこ、琴音を追い出さなきゃな。


 「寿くん、お弁当一緒に食べるんでしょ? 行こう」

 「どこへ」


 面倒くせぇから教室でいいだろうと思うが、

 夢花は強引に俺を連れ出そうとした。


 「わたしも行く~」


 外の芝生のところに連れて行かれ、二人の間に座らされた。


 「卵焼きどう?」

 「硬い」

 「わたしのは?」

 「卵が悪い」

 「これ自信あるよ! 唐揚げ」


 それを食ったあと、


 「どう?」


 一つ一つに感想求めるなっつーんだよ!


 「肉が臭い」

 「アタシのエビチリも食べて」


 あれを食えだのコレを食えだの、夢花のを食って

 梨乃のやつを食わないのは不公平だの…………



 まったくウゼェ!
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