private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 「蹴るとはいい度胸だな」

 「……蹴って………ない……」


 もう息切れしてる夢花を懐柔するのは楽すぎて、

 つまらなかった。

 言葉で煽ったせいもあるだろうが、サービス精神は旺盛。

 夢花が場慣れしてることも分かった。


 「写メ撮っていい?」


 終わって服着ようとしたら、そんなことまで言い始めるくらいだ。

 「いいけど」

 「アタシにキスして?」


 してやったら本当にケータイで写真撮って、嬉しそうに保存した。


 「それどうすんの?」

 「記念写真」


 記念………ねぇ………









 朝、俺は新山や美希にやってやってたみてぇに

 二人を迎えに行ってやっている。

 何で俺はこんなことしてるんだろう、イヤならやめりゃいいのに。

 とか思うが、思うだけだ。

 ただ人の言うなりになってんのが嫌なだけで、

 実際どうでもいいのか、そんな些細なことは。

 先に梨乃が車に乗ってくる。


 「おっはよ」


 夢花と寝た日の翌朝、見てソッコー梨乃の変化に気づいた。

 メイクに気合いが入ってて、まるで別人。

 カバンと声が違ったら梨乃とは分からなかった

 かもしれないというほど。


 「どうしたんだよ?」


 俺としてはメイクと、ちょっと左にずれてるが、

 脳天で結った髪が気になる。

 ぼんぼんついてるし、この髪型、大分キャラと違くねぇ?


 「気分転換」


 梨乃は俺の隣りに座る。


 「もう少し離れろ」

 「え~」
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