private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 「お前はどんなタイミングで新山から五十嵐のこと聞いたんだ?」


 私は関東大会の日のことを、覚えてる限り、全て寿に話した。


 「復讐と判断するに足る汚さだな」

 「どっどこが?」


 奈々は私のこと考えて、星哉と仲良くなろうとする前に、

 打ち明けてくれたんだよ?

 どこが汚いの?

 むしろ正々堂々としてて、私の立場とか

 みんなの関係とか大事にしてくれてるじゃん。


 「まず許可を取っておけば、美希は何も言えなくなるだろ?
 自分は表向き攻撃されることもなく、五十嵐と望むような関係になれるわけだ」

 「奈々はそんな風に考えてないよ」

 「何を信じるかは美希の勝手だ」


 そう言って、寿はニヤリと笑った。

 こんな遊び人なんかより、つき合いの長い奈々を信用するべきだ。

 とは思うけど…………



 遊び人だったら、いろんな修羅場も見てきたよね……



 「美希には迷惑かけたから、力になってやってもいいぞ?」


 寿は不敵に笑う。


 「もしも助けてって言ったら、何してくれるの?」

 「そうだなぁ……他の奴らとは
 比べものになんねぇくらいのVIP待遇で遊んでやるよ」

 「別に遊んで欲しくなんかない」

 「もしかしたら新山が嫉妬するかもしんねぇじゃん?」

 「仕返ししろって言うの? あんた最低」


 この状況を楽しんでるみたいな寿に、むっとした。


 「そんなこと言ってんの、今だけだったりしてな。
 着いたみてぇだぞミッキーちゃん」


 私のことミッキーって呼ぶのは、奈々だけだ。


 「二度とそんな風に呼ばないで」


 リムジンのドアが開けられて、私はさっさと外に出る。



 寿は車の中。

 もうエスコートはしてくれない。



 って、何そんなこと考えてるの?

 別にいいじゃん、あれは恋愛ゲームしてたときのことで、

 本当にやって欲しくて頼んだわけじゃない。

 過ぎゆく白いリムジンを見つめてたら、何故かため息が出た。
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