private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 気まずいなぁ……

 かなり気まずい。

 まず、何て話しかけよう。

 おはよう、とか変だよね。




 謝ってみる?

 それもなぁ……

 もしかしたら寿が悪いカモだし。




 どうしよう。

 考えながら歩いてたら、あっという間に教室に着いてしまった。

 彩並寿は例の如く、沢山の女の子とトーキングタイムを楽しんでいる。

 割り込んで行くのはちょっと。



 狙い目はHR後かなぁ。

 HRが始まっても奈々も星哉も教室に現れなかった。





 奈々はまた泣いているかもしれない。

 寿のせいで。

 そうだよ、寿のせいなんだよ。

 何かあってもなくっても、寿が奈々を傷つけて泣かせたことには変わりない。






 強気で行け、美希!!

 私は何も後ろめたいことなんか、してないんだから。




 HRが終了すると、私は計画通りに彩並寿のもとへ直行する。

 人が集まって来る前に、寿をどこかに連れ出さなくちゃならない。


 「彩並くん、ちょっと来て?」


 寿は不思議そうな顔をして、だけど余裕の笑みを浮かべて立ち上がる。

 どこへ行こう。

 やっぱり屋上がいいよね。

 何もないから、誰かついて来てたとしても、すぐ分かるし。
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