private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 言ってることは正論だし、俺が唯一思い通りにできない人間だ。

 そこがウゼェんだよな。

 グラスに半分くらい注いだマンゴーと牛乳が入った飲み物を一気飲みして、口を拭く。

 もういいよな。

 いつもこんくらいしか食わされてねぇし。


 「ちゃんと、召し上がってくださいね」

 「まだ食うのか」

 「寿様がおっしゃったではありませんか。ちゃんと朝飯食う、と」

 「いつもこんなもんだろ」

 「いつもの量では、ちゃんと、とは程遠く思いますが」

 「分かった分かった。食やいいんだろ! 食うからもうゼッテェ回線繋ぐなよな!
 食い終わったらカメラ切れ」

 「防犯のためですので、カメラの電源は」

 「クビにされてぇ?」

 「防犯対策を行ったら、クビですか? 寿様が許されても、会長はさぞや」

 「分かったよ!!」


 またこれだよ。

 目の前にいてもいなくても、完全にあいつのペースだ。

 岡崎が乗ってくるまでになんとかしねぇと、百パー鷹槻が介入してくるからな。

 食いたくもねぇフレンチトーストを腹に押し込んで、ジュレを口に突っ込むと、甘すぎて気分が悪くなった。




 ……何で甘いんだよ!!




 多分、普通の人の味覚からすれば甘さ控えめってやつだと思うが、俺にはキツイ。

 鷹槻は俺の好み知ってるよな。

 これはイヤガラセか?

 何か車酔いしそう。

 そんなこと思ってたら車が止まった。

 窓の外を見ると、岡崎の家。

 外出て風に当たってよう。

 車に寄りかかって深呼吸をニ、三回。

 ダメだ、全然良くなんねぇ。


 「寿様、顔色が良くありませんが」


 車の外に出て俺の方に向かって歩いてくる鷹槻。
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