private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 何、コレが素とか?

 もうどっちでもいいし。

 あ~気分ワリィ。

 思考が停止した。





 「シンクって、心に貢ぐって書くんだ」

 「キザだろ?」

 「そっそうだね」





 ダメだ。

 ヤベェ。




 気持ち悪いのに携帯なんか使ったせいで吐き気がしてきた。

 学校までどんくらいだ?

 吐くとかダセーから嫌なんだけど。


 「顔色悪くない?」


 岡崎が俺を見つめてる。




 気遣ってんの?

 ヤメロよこんなときに、卑怯だぞ。




 「貧血なんだよ」


 早く着かねぇかな。


 「これ使っていい?」

 「いいよ」


 余裕がなくて、岡崎が何の使用許可求めたのか確認もせずに言った。


 「すみません、車止めてください」


 インターホンだったらしい。


 「遅刻するぞ」

 「一回くらいいい」


 意図しない借りなんかつくりたくねぇ。


 「そのまま行ってください」


 運転手に言葉を残してから強引に回線を切る。


 「勝手なことすんじゃねぇ」


 にらむと、岡崎はムッとしたような顔を……しなかった。

 何でだ?
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