private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 「具合悪いのに無理しない方がいいよ?」

 「してねぇから」


 長いソファみたいになってる座席に身体を横たえる。

 仰向けになったのがまずかった。

 即行で吐き気マックス。



 ヤベェ。

 マジでヤベェ。



 岡崎の方を向かないで寝るには、背もたれと座席の結合部に額を押しつけるようにして寝るしかない。

 だけどそれじゃあ悪化することは目に見えてる。

 顔をしかめずに岡崎の方を向いて寝るしか道はない。

 左腕を枕代わりにしてそれを実行した。




 が――――――



 「失礼致します。申し訳ありませんが、道が渋滞しているため
 進むことができません。しばらくお待ちいただけますか?」


 こんなド田舎で渋滞?

 ざけてんのかテメェは。

 余計なことすんなよ!!


 「迂回しろ」

 「工事中で通行不能です」

 「道は他にもあるよな」

 「ございますが、お車が大きいので角を曲がることができません」

 「近くまで来てるんだろ? 歩く」

 「了解致しました。広い場所まで移動しますので、少々お待ちください」


 動き出した車はすぐに停車し、俺たちは外に出る。

 こんなときでも俺はエスコートを忘れない。

 でも余裕がなくて、岡崎の様子なんか監察しながらはできなかった。




 ダセェな。



 こういうのホント、マジでダセェ。

 岡崎に見られたとかそういうんじゃなく、情けなくて自分がスゲェやだ。

 本当はどっかに寄りかかって座ったりしながら休みたかったけど、そんなことできる状況じゃねぇし。




 だいたいココはどこなんだよ!!




 俺らが歩いてるのは、どっかのスーパーの駐車場。

 どうやって行けば学校に着くのか俺は知らねぇ。

 同じ制服着た奴らも歩ってねぇじゃんか。
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