private lover ~大好きな人の前で他の人に愛を誓う時~
 気取って高飛車に言う岡崎の顔。


 『無理しちゃダメだよ?』


 って言ったときと、マジ同一人物か?


 「ジジイに会う」

 「ジッジジ……お父さんのこと?」

 「違う。ジジイだジジイ」

 「そういう言い方しちゃダメなんだよ?」


 言葉遣いは一緒なのに、何でこうも違く言えるんだ、この女は。


 「美希は俺の女なんだろ? 紹介しねぇとな」

 「しょっ紹介ぃっ!?」

 「何だよ? 都合悪いのか?」


 鼻に掛けるわけじゃねぇけど、孫に二度も高校生やらせるというボケをかます、

 あのクソジジイだが、実は国内外で結構有名だ。

 多分相当な圧力になるよな。

 謝って負けを認めれば許してやるよ?


 「そっそれはぁ……つまり私のこと、彼女って認めたってことだよね? 正式に」

 「まぁ、そういうことになるな。一応次期社長婦人てことになるのか?」

 「しゃっ社長婦人っ!?」


 ビビッてるビビッてる。

 なれるわけねーっつーの。

 婚約者候補はゴマンといて、選び放題だ。

 選ぶのは俺じゃないけど。


 「日曜空けとけよな。ヘソ曲げると、ジジイ二度と認めねぇから」


 命令してやったのに岡崎は無反応だった。

 そろそろ、俺にも分かる風景が見えてきた。

 だけど同じ制服着て歩ってる人の姿はない。



 時計を見たら八時半。



 ここからじゃ完全に遅刻だな。

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