Starting Line
―真志は、私のことを嫌っている。

―私だって、嫌ってやる!!

そう香澄は思った。
・・・けど、
やっぱり真志を見ると
意識してしまう。
胸が熱くなって・・。
香澄は、真志から一歩離れた。
「馬鹿。何避けてんだよ。
 犯人が光だってことぐらい
 知ってるつーの」
(は!!?)
香澄は思わず叫びそうになった。
「で・・でも、あのとき私に・・・」
「あのときは、まだ光が犯人か
 確定したわけじゃなかったからな。
 演技してただけだ。」
「知ってたの!?」
「俺はサッカー部の奴から聞いた。
 光がワークルームに一人で入ってたって」
「・・・で、確定したの?」
「あぁ。光が俺にさっき相談しにきた」
「えっ!光が!?」
香澄と晴香は声を合わせていった。
「自分でもどうしてやったのかよく分からないって。謝りたいけど、怖くてお前らの前に出られないそうだ。」
真志って、意外とけっこう話すじゃん。
香澄は思った。
「怖いって・・・。
 こんな思いした香澄は、
 もっと怖かったのよ!?」
晴香が声をあげて言った。
「いいよ、ありがと、晴香」
「香澄・・」
「光がいやなんだったら、
 私は光が来るまで待つよ。」
「香澄、あんたあんな思いしたのに・・」
「私も、途中で入ったくせに、
 調子乗ってたときとかあったし。」
香澄がそう言うと、晴香は
「しょうがないなぁ!」
といって秀の試合をみた。
「・・・悪かった。」
真志はボソッと言った。
―え?今、私に言ったの?
そう思った瞬間、
香澄は真志を嫌うなんてことは完璧に忘れた。

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