めろめろ、きゅん


あたふたと萌に謝る女子生徒達。しかし萌は泣き止まない。流石に周りの生徒も心配になってきたのか『どうしよ…』と目配せする。


そんなとき。


ある男が現れた。



「萌、泣き止め。」

「うぇぇんっ……う?椿君?」



泣いていた萌は顔を上げて首を傾げる。そこにはやけにイケメンな黒髪の男が立っていた。萌はその男のお腹辺りに抱き付く。



「……萌を泣かすな。」

「ご、ごめんなさい!」

「わ、悪気はなかったの。」



萌の背を撫でながら女子生徒を咎める。お菓子を集る萌か煽った女子生徒が悪いのか分からない。だが、萌が泣いている。それだけで女子生徒を非難するには充分すぎた。
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