アフターレイン


 ……。



「じゃああたし、そろそろバス来る時間ですから行きますね」

「あ、おう」

「さよならー」



 話し込んでいた所為で時間を忘れていた。

 いつの間にやらそんな時刻になっていたようで、結構バスの時間にギリギリなのか、瞳がスカートを翻してすたすたと去っていく。








 ──バイト初日。



 鈴木さんという、頼れそうなしっかり者の先輩とも仲良くなれたし。

 大人しそうで苦手かもと思っていた瞳も、意外と気さくで話しやすい。



 他の人達も、店長さんも、いい人ばっかりで何とかやっていけそうだ。



 ……マールが早く元気になってくれたらもっと安心できるんだけど……。



 そんなことを考えながら、俺は夕暮れの家路をゆっくりと歩いていった。


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