アフターレイン
「……っはは。本当に三人とも、全然昔と変わんないね」



皐月は豪快に咽せたせいで目に浮かんできた生理的な涙を拭き取りつつ、笑った。



「本当に大丈夫か? 皐月ちゃん」



おお、この親父もたまには常人並みに人の心配をしたりするんだな。

俺に対しては抱き付くしか行動のレパートリーがないくせに。などと少しばかり驚きながら、その声のする方へと視線を動かす。



「……」



絶句した。



「珍しく父さんがまともな発言を……って、え? ……え、何それ」

「?」



すぐに直己も親父の異様さに気付き、思いっ切り眉をしかめて眉間に皺を寄せた。

直己の言葉にハテナマークを浮かべながら皐月も親父の顔へと視線を移す。
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