アフターレイン
「仁さん最高っ!」

「ほ、本当か!? いやあ嬉しいなあ! うちの息子たちはどうもリアクションが薄くていつもつまらなかったんだよ」



親父が鼻から割り箸を抜きながら、満足感に浸ったどや顔で俺と直己を交互に見る。

してやったり、とその目が言っていた。

直己が間髪入れず舌打ちをしたのは言うまでもない。



皐月の笑いは治まるどころか更にヒートアップし、ついにはぐねぐねと体を捩らせながら爆笑していた。



「あははははっ、あはっ、……っ、げほっ!」

「ちょ、おい大丈夫か!?」



今度は気管に唾液でも入ったのか、皐月は泣きすぎた三歳児のようにえづき始めた。



咳のしすぎか、「おえ」とか嘔吐を連想させるような声を出すものだから、俺も焦る。
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