アフターレイン
皐月の背中をさすりながら考えていた。



いろんな意味ですげぇな。

親父の繰り出すくっだらねぇ寒いボケでここまで笑える奴を初めて見たぞ俺は。



「……」



──いや、過去に二人いたか。

今となっては思い出したくもないけど。



「っ、はあ……」

「治まったか?」



大きく痙攣するような体の揺れがなくなったので、自分を落ち着かせるため深く呼吸をしている皐月の顔を覗き込みながら訊いた。



「……うん、大丈夫」



その目元には涙の粒が溜まっている。

最初は、さっき咽せた時みたいな、生理的なものなのかと思った。





だけどどうやら、違ったみたいだ。





「……っ、」

「さ、皐月?」
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