アフターレイン
ぽたり、と落ちた雫。

それは皐月が着ている制服のスカートを濡らし、水玉模様のような跡を作った。


幾つも幾つも。

ひっきりなしにこぼれてくる。



「…皐月?」



え、……泣いてる?

待って、何で? 何で泣く!?



何故いきなり泣いているのかなんて到底わかるはずもなく、俺も直己も、はてはついさっきまでおちゃらけていた親父までもがぴたりと口を噤む。



わかんねぇ。

ちっともわかんねぇ。



こういう時、どうしたらいい?



男三人所帯の家で育ってきたし、泣いた女を慰めるなんていう経験もないし。



ちらりと直己を横目に見て「何とかしてくれ」と目で訴えたが、直己もただ狼狽するばかりでどうしたらいいのか戸惑っている様子。
< 24 / 108 >

この作品をシェア

pagetop