アフターレイン
「仁さんとひー……じゃなくて久志も会いたがってるって言ってたから、近々遊びに行くよって約束した」



やっぱ、いきなり呼び方を変えるのは無理か。

今一瞬〝ひーくん〟って言いかけたしな。

まあ、ゆっくり慣れていってくれたらいい。



そんなことを考えながら、俺も相槌を打った。



「それが昨日だったってこと?」

「そういうこと」



肯定の意味で皐月が首を縦に振る。





「でも、確かお前、北海道に行ったはずじゃ……」

「うん。そうだったんだけどね。高校進学をきっかけに戻ってきちゃった」



何だそりゃ。

随分簡単そうに言うなぁ。



「今は? どこに住んでんの」

「安アパートで一人暮らししてる。将来なりたい夢があってね、どうしてもこの高校に行きたかったから」



さらりとそう言ってのけた皐月だけど、その言葉にまたもう一つ疑問が生じた。



「……この学校普通科しかないし、特に何もなくない? 偏差値もそこそこだし」
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