アフターレイン
──皐月と出会ったのは、俺が保育所の年中組、直己が年少組だった頃の話だ。



丁度、今のような梅雨の季節だった。

初めて顔を合わせたあの日も、やっぱり雨が降っていたように思う。



親父の再婚相手の連れ子として連れられてきた直己と同い年の女の子。

それが皐月だった。



母さんの顔もあやふやだった俺と、母さんの顔を見たことがないに等しい直己は、すぐに新しい家族に順応した。

単純に嬉しかったんだ。

お母さんと妹が一度に出来たことが。



義母、美加子(ミカコ)さんはきらきらと輝くような綺麗な女の人だった。



本当に、何でこんな美人が親父なんか好きになったんだって思えるくらい。

料理も美味しかったし、何より優しかった。
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