アフターレイン
──最後にもう一つ。



親父のギャグに腹がよじれるほど笑った人が過去に二人いた。

あれは、美加子さんと俺の実の母さんのことだ。



母さんが親父のギャグに笑うところを俺は覚えていないが、まだ美加子さんと出会っていなかった頃の親父がよく話してくれた。

美加子さんも、昨日の皐月のように、こっちが戸惑ってしまうほどに笑い転げていた。








俺の昔話はこれで終わり。



親父と美加子さんと俺と直己と、それから皐月。

また笑い合える日は来るんだろうか。



……いや、来ねぇか。



何だか、五人で食卓を囲んで無邪気に笑っていたあの頃がひどく懐かしい。

戻りたい、と皐月は言っていた。





ああ、そうだな。

俺もそう思うよ。
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