アフターレイン
そんな他愛ない会話を交わしながら俺も傘を開いて、タマと帰路を歩いていく。

いつもと同じ帰り道──のはずなんだが、道端に昨日はなかったものが落ちていた。



「あれ何だろ?」



とタマが語尾を上げて俺に問ったが、どう見てもダンボールだ。



雨に打たれて濡れたそれは変色し、ぴちょぴちょと端から雫を滴らせている。



そして、微かに。

今にも消え入りそうな頼りない鳴き声が、短く聞こえた気がした。



「今……ニャーって聞こえた?」

「うん」



もしかすると空耳かもしれないと思ってタマにも確かめたが、どうやらこいつも聞こえていたらしい。

間違いないな。



「捨て猫だ」
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