アフターレイン
まあ、そんだけ可愛がられて育てられてるってことだろう。

そういうの、ちょっと嬉しいよな。



「つーか早よ帰ろうぜ」

「え? ああ」



雨ざらしになっていた猫を心配してか、タマが突っ立っていた俺を急かす。

いきなり背中を押されてつんのめった。



「バッカお前、危ないだろ!」



まじ焦った。

別に俺が転ぶ分には構わないが、そのせいて猫を潰してしまうことにもなりかねない。

こんなに頼りない小さな体、俺の体重がのしかかったら間違いなく圧死するに決まってる。



「ごめーん」

「……」

「うおっ!?」



全然反省してなさそうなタマの背中を、真顔で突き飛ばし返してやった。

腕の中で、マールが笑った。



「ニャー」



そんな気がしただけだけど。
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