アフターレイン
タマはそんな俺の物言いを大して気にした様子もなく、ふんふんと鼻歌をうたいながら横を歩いている。
まあ、こんなやりとりは日常茶飯事だし、俺が冗談半分で言ったってことも分かってんだろうし。
さすがに俺も、真横を歩く友達がずぶ濡れなのを見て見ぬ振りする程薄情じゃない。
男同士で相合い傘が嫌なのは本当だけど、まあしょうがないな。
──そんなこんなで生徒玄関まで歩いてくると、タマがいきなり「あっ」と声を上げた。
何事か、と思って訊ねると、下駄箱前でたむろする女子を見やりながら
「あの茶髪の子、可愛くない?」
……だそうだ。
俺の角度からじゃ後ろ姿しか見えないが。
心底くっだらねぇ。
そんな俺の内心が態度に滲み出ていたのか、タマは呆れたような口調で「久志はいつもそーだよな」と続けた。
「モテる癖に恋愛に全然興味なさそう」
「実際ないしな。興味」
「…羨ましー発言だなぁオイ」
いつもそう言うけど、俺が思うに、お前もそこそこモテると思うよ。
その赤髪やめたらの話だがな。
まあ、こんなやりとりは日常茶飯事だし、俺が冗談半分で言ったってことも分かってんだろうし。
さすがに俺も、真横を歩く友達がずぶ濡れなのを見て見ぬ振りする程薄情じゃない。
男同士で相合い傘が嫌なのは本当だけど、まあしょうがないな。
──そんなこんなで生徒玄関まで歩いてくると、タマがいきなり「あっ」と声を上げた。
何事か、と思って訊ねると、下駄箱前でたむろする女子を見やりながら
「あの茶髪の子、可愛くない?」
……だそうだ。
俺の角度からじゃ後ろ姿しか見えないが。
心底くっだらねぇ。
そんな俺の内心が態度に滲み出ていたのか、タマは呆れたような口調で「久志はいつもそーだよな」と続けた。
「モテる癖に恋愛に全然興味なさそう」
「実際ないしな。興味」
「…羨ましー発言だなぁオイ」
いつもそう言うけど、俺が思うに、お前もそこそこモテると思うよ。
その赤髪やめたらの話だがな。