アフターレイン
──ピンポーン
破天荒なマールに振り回されっぱなしの俺が脱力してぐったりと畳に寝っ転がっていると、インターホンが鳴る音が家中に響いた。
「何だろ。宅急便かな」
猫じゃらしを振って一生懸命マールの気を引こうとしていた直己がそれを一旦床に置き、トコトコと玄関に向かう。
横たわっている俺の位置からは玄関が見えないけど、何やら話し声がする。
なんだ、客か?
しばらくすると、直己の「どうぞ、上がって」という台詞が微かに聞き取れた。
客なんか家に上げて大丈夫なのか?
今、マールのせいで家の中がかなり悲惨なことになってるけど。
「おじゃまします」
あまりの部屋の汚さに俺が若干うろたえていることもつゆ知らず、姿を見せた客。
皐月だった。
今日は制服じゃなく私服を着ているけど。