アフターレイン
「やばい、可愛すぎでしょこの子!」

「よね。俺も最初見た時、何この生き物って思った。一日にして我が家のアイドルだよ」

「あー、何かあたしも猫飼いたくなってきた! 賃貸アパートだし無理だけど」

「うちに遊びに来たらいいじゃん」

「いいの!? やった! 絶対毎日来るっ」





 背中を丸めて健気にマールのトイレ掃除をする俺の横で、そんな会話が交わされている。



 良かったなお前、早速人気者だぞ。

 そんな言葉を秘めた視線をマールの後ろ姿に送ると、俺を振り返って「ニャー」と鳴いた。



 らしくなくても、仮にも猫だ。

 視線には敏感らしい。
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