アフターレイン
「俺あんま猫詳しくないし、どうしたらいいのか分からなくて」

「だから、何があったんだよ?」



 こいつがこんなに混乱しているのを俺は初めて見るぞ。

 何か相当なことがあったんだろうけど、全然状況を把握できていない俺はいまいち付いていけない。

 もう一回訊き直すと、直己は。





「マールが吐いた!」





 ……なんだ、そんなこと。



「毛玉じゃねーの?」



 猫は自分の体を舐めて毛繕いする。

 飲み込んだ毛がお腹に溜まって、たまにそれを吐き出すんだ。

 それなら別に緊急事態じゃない。



 特に慌てることもなく楽観視していると、直己が「違うんだよ」と余裕がなさそうに声を絞り出した。





「凄く苦しそうなんだ」


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