アフターレイン
「アニキ、早く」



 掃除を終えたらしい直己が、ボーっと突っ立っていた俺を急かす。



 ──外に出ると、親父が車の助手席と後部座席のドアを開けたまま待っていた。

 俺が助手席、直己が後部座席に乗り込んでそれぞれドアを閉める。



 マールを入れたキャリーケースは俺の膝の上に置いた。



「どこの病院に行けばいいんだ?」

「えーっと……松川。松川動物病院」



 あそこが一番近いと思う。

 それに、マールを拾った時に検診を受けに行った病院だし、いろいろと都合がいい。



「わかった。松川だな」



 そう親父が言ったのとほぼ同時に、車が発進した。
< 63 / 108 >

この作品をシェア

pagetop