アフターレイン
 俺が言った言葉の要点を纏めて、紙に書き込んでいく松川先生。

 恐らくカルテか何かだろう。



 松川先生は、自分が書いた文をもう一度読み返して「ふぅむ」と唸った。



「ちょっと、レントゲン撮ってみようか」








 ──マールを先生に引き渡すと先生はレントゲン室に入っていき、特にすることのない俺はそのまましばし待たされた。



 その後レントゲン室から俺の膝の上に戻ってきたマールは不安そうに身を縮めている。

 それからまた少し待たされて、マールのものらしいレントゲン写真を現像したものが貼り出された。



 松川先生は写真のある部分を指で差しながら、口を開く。



「ここ、わかるかな? 食道が普通より大きい」

「……何となくは」



 とは答えてみたものの、本当は全く理解していない。

 まず、先生の言う〝普通〟がわかんないし。



 でもどうだろう。

 〝普通〟を比較対象にされてるってことは、マールの何かが〝異常〟ってことだよな。



 途端に不安になって先生の顔を見つめると、先生は笑顔をやめて真剣な顔になり、真面目な口調で話し始めた。
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