アフターレイン
Episode,2
自宅の前まで来て、ふと立ち止まった。



さてどうしたものか。



うちの親父は今日の朝仕事が休みだと言っていたから、この時間も家にいるはずだ。

出来れば鉢合わせたくない。



別に親子仲が悪い訳じゃないんだが、うちの親父は、ちょっと……いやちょっとどころじゃないけど、アレだから。

いい加減子離れしろよ、みたいなタイプの。



「……」



でも、こうして家の玄関扉前にずっと立っている訳にもいかない。

俺は決意を決めて、出来る限り音を立てないように、極めて静かにドアノブを回した。

最小限の隙間を開き、家の中に体を滑り込ませ……ようとして、



「ひっさしぃぃぃいいい!!!!」



あ、やば。

と思った時には既にドアを閉めていた。



いや、閉めてどうする俺。

いやいや、でもあれは駄目だろ。

心の準備が…。
< 7 / 108 >

この作品をシェア

pagetop