アフターレイン
「ひーさーしー! 何でドア閉めんの!? パパは寂しいよぉぉ!」

「……」



ドンドンドン、とドアを破壊せんばかりの勢いで向こう側から扉に拳を叩きつけながら訴えてくる。

うるさい。



俺は深呼吸をして、ゆっくりとドアを開いた。

予想通り、というか案の定そこにはうちの親父殿がいて、俺が姿を現すなり



「久志、会いたかったっ!!!!」



とか言いながらドオッ、とすごい勢いで抱きついてくる。



まじでやめろよ近所のみなさんに変に思われたらどうすんだよ馬鹿が。



「離せってっ、」

「嫌だ! パパは今日一日家に独りきりで寂しかったんだ! お前は何なんだ? パパと離れて寂しくなかったのか!? この親不孝者がっ! パパは悲しいよぉぉぉ」



うざい。



ちなみに毎日こんな感じだ。

わかって頂けただろうか、俺が親父を頑なに避けようとする理由。
< 8 / 108 >

この作品をシェア

pagetop