アフターレイン
「何あいつ」



 俺がバカなだけだろうか。

 それとも皐月がわざとうやむやにして誤魔化したから?

 何にせよ、訳わかんねぇんだけど。





 〝好きだからだよ〟





 あの台詞が皐月の理想だという俺の家族に向けられているのか、それとも俺個人に向けられているのかを図りかねていた。



「……」



 いや、まさかな。

 有り得ない有り得ない。



 とは思いつつも到底自分の中だけでは答えが出るはずもなくて、俺は延々と思考のループを繰り返していた。








 ……正直言うと、



 ちょっと、ちょっとだけ、

 期待している自分がいた。


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