黄色い線の内側までお下がりください
『今までよく生きてきました』
っていうご褒美に『死』がある。
死ぬ瞬間ってね、すごく気持ちがいい。
イク快感なんて目じゃないくらい気持ちがいいの。
あれを味わってしまったらおかしくなる。そしてもう一度欲しくなる。
何度でも、何度でも。
だからこそ最後の最後に一度だけ味わうことができる。
そして、その快感を全ての人間が知ってしまったら、人間は生きることをやめてみんな死ぬことを選んでしまうだろう。
だからその対価として生き返ることができない。
生き返ってきても、またすぐ死にたくなるから。
そしてそこに至るまではとてつもなく苦しい。
でも、損はない。
あざみは1つ言い残してることがある。
私が話をしているとき、それからこれを読んでいるときは外に繋がるドアや窓などを1センチでもいいから開けておいてほしい。
じゃないと私にくっついてきた亡霊たちが外に出ることができないから。そうするとそこに、あなたの家に居座ることになる。
私はそれで問題ないけれど。
もしドアを開けていない人がいたら...
私はあなたのすぐ後ろにいる。
左肩が重くなったりラップ音が聞こえたら私が来たという証拠。
後ろに誰かがいる気配を感じたら迷わず振り向いて。
その時は、恐怖と苦しみをあなたにあげるから。