黄色い線の内側までお下がりください

「なに・・・してるんですか?」

 不意に聞こえた声に振り返る桜は、そこには鞄を胸の前で抱えた浅黒い肌の色の女の子が立っていることに気付いた。


「だれ?」

「・・・」

「何?」

「離れたほうがいいと思いますよ」

「なんでよ」

「そこは、危ないから」

「・・・あんた・・・なんか知ってるわけ?」

「タイラさんの友人・・・です・・・よね?」

 タイラのことを知っていると言ったこの女子は、タイラがここから飛び込む様子を一部始終見ていたと言った。

 なんで助けなかったのかと桜がまくしたてると、硬く口を閉ざし下を向いたまま黙ってしまった。

 それ以降、桜の問いかけに答えることもなく、首を縦や横に振るだけで、視線も合わせようとしなかった。


   
                                                                                                                                                                                                                                          
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