黄色い線の内側までお下がりください
【シチ】
【シチ】 確認
伊豆の計画は台無しになった。
宮前タイラはやはりあの列車事故で亡くなっていた。
タイラの彼氏とは面識はあるが、連絡先まで交換するほどの親しさではなかった。
桜はバイトを辞めた。
もうバイトをしても意味が無い。
働く必要すら感じなくなっていた。
あざみが死んだのは私のせいじゃない。と自分自身に言い聞かせた。
バッグを拾いに線路に降りたのは彼女だ。
そこでいつまでももたもたしていたのもまた同じ。
バッグを抱きしめたままぼけっと突っ立って下を見ていたし、
みんなが呼んでも聞こえていないようにも見えた。
電車だって警笛を鳴らしていたし、あれが聞こえていないわけがない。
線路下に避難場所だってあった。
実際そこに這いつくばって行こうとしていたと野次馬たちが言っているのを聞いた。
私は悪くない。
ちゃんと助けようとした。と、言い聞かせていた。