黄色い線の内側までお下がりください
手元に置いてあるマグカップのコーヒーを一口飲み、喉を潤わした。
玄関のドアのぶをゆっくりと回す音が聞こえて全身に突き刺す恐怖が走る。
なんで開けておいたんだろうとこの時点で思っても、遅い。
ゆっくりと回るドアノブ。
咳払いを大きくする。外の誰かに聞こえる様に。
回されていたドアノブはぴたりと止まり、開けられる気配はそれ以上感じなかった。
肩で呼吸をし、乱れた呼吸を整える。
震える手でマグカップを持ち上げる。
テレビには何も映っていない。
いつの間にか消されていた。
部屋の中は無音だ。なんの音もしない。
映っていないテレビ画面は真っ黒で、
そこにはマグカップを持って恐怖に震え、青白い顔をしている自分がいた。