星空の下で【超短編】
毎日会って、毎日キスして、毎日肌を触れ合ったあの人は、今日地元に帰ってきた彼女と同じようなキスで迎え出ているのだろう。
重い足取りは変わらずとも、さらに重石を乗せられた気分で家にゆっくり時間をかけて戻るのだ。
ひとつひとつ噛み締めるように踏み出した足は、心の破壊運動の一つだった。
それは、幼稚園を通りすぎてずっとしても、先程の純粋眩しい宣言は心に絡み付いて離れない。
糞みたいな彦星だけれど、本当に彼女と___織姫と会えるのをずっと待っていたんだと、私はこの日がくるまでの数日間、わかっていた。
私が見ていたのはただの汚い部分と言うのに、彼女には見栄もはりたいと思える気遣いがちらちらと見え隠れしていた。
どちらにも気付かないように、そっと流されて、本当は全てを知っていたのに、隠そうとしたのは私もきっと同罪なのだ。