星空の下で【超短編】
『あんたさ、彼女いてるくせになんとも思わないの?』
一度聞いた時がある。本当に不思議だったのだ。私は恋人ができたらもちろんその人だけなのに、この人はそうではない。私とは違う人なんだ。そのとき、漠然と思った。
『何いっても言い訳に聞こえるけど、彼女がかわいいってことはずっと思ってる。犬みたいにしっぽ振ってるからな』
『本当に最低クズなんだね』
『それは俺が一番良く知ってる』
最後の言葉はどこか自嘲気味に響いた。
本当に彼女のことが好きなのかもしれない。
他の女を使い捨てする最低な男であるが、きっと。
裂くような痛みが小さく体に木霊した。